「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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ヨリトリは五倍の伸縮がありますから、口を切らして逃げられたり、釣りおとす魚がまったくなくなりますし、われわれが魚をあしらったりすることの何倍も上手に釣糸を操ってくれることになります。魚が引張るときは魚の引張る方向に、魚が弱って引張る力がなくな『てくれば手元に引寄せてくれるし、特に口の弱い魚や強引にあばれまわる魚には最適であります。このようなわけで、ゴムョリトリなしでは全く漁にならないのであります。鮪延細などでは、一航海、約六十回操業して一回に逃がす魚が最低で六本から十本位ある訳ですからその数は十本逃がしたとしても六○○本の鮪が逃げているわけです。釣針のはずれる原因をしらべてみますと、鮪の口が拡が『て切れたりするものが、全体の逃げる鮪の八五パーセントもあり、その次に漁具の切れるものが五パーセント、釣針がよくかかっていないものが五パーセント、その他が五パーセントとなっていま78時の衝撃強力は四百八十キログラムでした。四百八十キログラムを百二十五キロで割ってみますと、三・八四になります。ということは、三・八四倍、約四倍の力があるわけになります。右の結果でわかるように、ゴムョリトリを使用すると、すべての幹細や枝縄、又は釣元の糸が3倍から4倍増強されることになります。逆の云い方をすれば、鞘か%の強さのものでも大丈夫だということになりますが、海中のことですから充分安全系数をみても、%のものは使えるわけであります。言い変えれば、今日迄、仮りに一分のテグスを使っていた道具は五厘のもので、三分のテグスを使っていた道具は一分六厘か一分四厘でよいことになります。こうなりますと、糸が細くて釣が出来る訳ですから、餌の動きもよく、魚の眼につきにくい道具が使用出来るのですから、種々の原因で漁獲率は数倍化するし、まわりの太い糸を使って釣りをしている人淀は魚が喰『てはくれなくなるでしょう。更にゴム

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