「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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細に使用しているロケット(バクダン、又はダポ)又はヒコーキといわれる曳細漁具、その他、われわれが皆んなやっている一本釣や曳細で幹糸を動かして餌の動きをよくする方法など、すべてが魚の側線や聴覚に刺戟を与えている音による漁携法であるといえましょう。又、多くの魚が群団をなして泳いでいても、お互に、ぶつかり合わないのは、お互の発する濫泳音を側線で感知して間隔をとっているからだともいわれております。池で魚を飼った人や、釣りをした経験のある人は、一寸した拍子に非常に魚が敏感に反応し、一度にぱっと四散したりすることをおもい当たることでしょう。魚はガンガンする連続音よりも、突発的に振動するような音、地ひびき、金属のかんかんするような響く音などに特に反応が強いようであります。金属棒やパイプをたたいたり、金物類を縄に沢山付けて海底を引張ったりして魚を網に追い込んだりする漁法は古くから各地でやられているものです。又、スクリュウのシャフトがまがって、ガラガ23は想像のされない複雑雑多な音が聞こえるのであります。試みに水中マイクロフォンで聞いてみると、貝類の出す呼吸音や、何処からか、遠方から物をきしませるような音が聞こえてまいります。小魚やエビ、カー一類からなる、やや大型の動物性プランクトンは当然猫泳音や捕食音やその他、色々の音を出すことが考えられ、これらの小動物が何億万匹と群をなして発する合成音はおそらく魚群には、林を渡る風の如く明瞭に聞き分けられるのではないでしょうか。上記のきしむような音は動物性プランクトン類の発する音かも知れません。いづれにせよ、これ等の音をたよって、遠方から又下層から魚群が集ってくることは、ありそうなことであります。タイの「どんぶり釣り漁法」や、三重県の漁師が下層に、潜っているカツオを引出すのに、海中を角でカポリ、カポリと8の字にかきまわしたり、カツオ竿釣りのときの撒水や撒餌、東北日本海方面で曳

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