「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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られるわけです。こうした研究に対する期待は今後益々大きいものがあります。③ポンプによる吸入漁法東海区水産研究所がへグループを作って実験していますが、海中に海泳している魚族や海中生物を、ポンプで吸い上げ、海水と海産物を分離して海中資源だけを船内に取り入れる方法です。最近ソ連などで実用化しています。漁師がボタン一つで、くわえたぱこでオートメーション式に漁携活動が出来るわけで、人手不足や、能率化、省力化に悩む、沿岸、沖合、遠洋漁業ともに、実現させてみたい漁法であります。実際にソ連では、カスピ海でキリカというイワシのような魚をポンプで吸い上げ漁獲をすることに成功しています相当に大規模な方法で操業しているのですが、採算の点から言えば、日本では考えられないやり方であると言われています。このフィッシュポンプとは、海中の魚やその他のものを吸い上げながら移送するわけでありますから63大魚に追われている場面などの水中録音をとって、ブリ、マグロ、サワラ等の回海路や、彼等の一時的に定着しそうな所に仕掛けておけば、集魚も可能なことではないでしょうか。又、魚群探知機でカツオ、ビンナガ、その他の魚群を発見したとき、水面でかねて用意した録音を海水中に流してやれば、カツオ、ピンナガなどの水面浮上もなしうるのではないでしょうか。ただ海水中は貝類やエビ、カニ、動物プランクトン、その他あらゆる魚群の発する合成音で一杯であるはずでありますから、やはり天候、水色、潮流などの条件も関連をもたせて実験してみるべきでありましょう。魚群探知機を定置網のブイに装置し、電波を送って魚群の動きを陸上にいながら見ることも、水産庁漁船研究室や神奈川県水産指導所で研究され、その実用も可能な現在、そうした場所に魚群が発見された時に、魚の好む音波により魚群を誘導して網に引き寄せたり、或いは魚群の集ったところをポンプで吸い上げたり、その他の漁法で漁獲することも考え

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