「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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を追い上げたり、動物プランクトン類や小さい柔かい餌魚類を食べているのが常で、警戒心も強く、光線の照度も充分であり、擬餌や釣糸には、見向きもしないのであります。こうした魚を釣り上げるには、撒餌を併用したり、擬餌の大きさを小さくしたり、彼等の食べている餌の大きさ、動きなどをよく注意して、そのように漁具を構成しなければなりません。魚の喰っている餌に大きさを合せた擬餌を用いること、その動きを合せること、撒餌をすること等は、繰り返し申し述べるわけですが、非常に重要なことであります。その他、船のスピードを上げるとか、道糸や釣元の道具の太さなどもゴムョリトリなどを用いて幾分細めにしたり等の、工夫をしなければなりません。表面に魚が浮上している時でも、その下の方にはさらに沢山の魚群が瀧泳しております。従って表面だけを曳く漁法よりは、潜水板を使って中層曳細をやると、表層より照度の不充分なところを曳くわけですから、水面よりは魚の警戒心も少ない。第一魚111その他サバ、メジ、シイラ等の水面に浮上した魚群に対して行われております。早朝三時か四時頃から出漁して、魚が水面に浮上しているときをねらって、盛んにやられています。ロケットは他の曳縄漁具に比べて幾本も曳くことが出来るが、ヒコーキなどではあまり沢山引張れない。ロケットの方が、魚を取り入れるとき水の抵抗が少く操作も簡単であります。水面曳細漁法は、前述のように、早朝か魚群が水面に浮上している時を除いては効果的ではなく、日中になり太陽が海面に照りつけてくるようになると、魚群は水面より中、下層へその溢泳層を移してしまいます。そうなると魚の棚に釣針が合わず、魚がたとえ喰っても、ごくわずかしか釣ることが出来ないのが常であります。こうしたことから、中層、下層を曳くことの出来る潜水板による曳縄や、ビシや鉛をつける漁法が普及して効果が上っているのであります。魚は水面に浮上している時は、彼等の最も好んで食べている餌

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