「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
5/194

推薦のことば山下楠太郎さんは、釣漁業界で注目のマトとなっている「山下式釣漁法」の考案者であり、並の学究では足元にも及ばない魚の研究者でもある。しかし、山下さんの特色は、単なる発明家、研究者でないところにある。彼は漁師の体験者であると共に、稀に見る釣りの達人なのである。生まれたのは三重県の阿曾浦、生家は代々の漁師で、父親は阿曾浦にマグロ漁業を植えつけた功労者であった。七、八才のころから、こっそり小舟をぬすみだして、沖に釣りに出かけ、十四、五才になると、すでに、いっぱしの漁師になっていた。戦後、釣り天狗のリッジウェイ大将の手をとって教えたり、○、五トンの小舟をあやつって、三浦岬から伊豆半島を経て清水まで、荒海を踏破して講演旅行に出かけたり、この人の逸話は、かず限りがない。理論に精通した学者、研究者。数十年にわたる、貴重な実際的体験を重ねた経験者。こうした指導者は、わが国の漁業界にも少なくはない。しかし、学識と実際経験を兼ね備えた指導者となると、その数は極めて少数である。この意味で、山下さんは、日本の漁業界にとって稀少価値の

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です