「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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所や、その付近でこの様な事がよくみられ、衝突点近くでは魚が不安定な状態であるため、餌を追う活動が出来ず、餌を投げても見向きもしない事もあります。多くの動物は暴風雨が来たりすると興奮するが、魚の場合、特にカツオ、ブリ類などはひどく食気が定潰網で一挙に漁獲されるブリ群・神奈川県真鶴にて(神奈川県水産指導所野村俊造氏提供)おこり、大漁することが多い。彼等は遠くで起る波浪の水中振動を他の魚種より逸早く感知するらしくこの様な現象が性々にして見られるのであります。又、台風接近の時に海中にもぐると貝類などは岩にがっちりとつかまって、なかなか手で引張ってもとれないし、海藻類も普通の時よりがっちりと根をすえています。新潟地震の時には、その少し前から、変った魚が釣れたり、魚が事前にそれを感知して棚を変えたり、住処を変えたりして思わぬ漁場で思わぬ魚を魚獲したそうであります。この様に第六感を備えて本能的な行動を見せるわけでありますが、これを逆に利用して、いつも警戒心の強い魚を釣るわけであります。魚の住む場所を大ざっぱに云うと、上中下の三水層と、海底又は砂泥中に住む二種が上げられます。生物の通則である⑩生命の安全、②餌料の豊富に従っています。海洋では潮境の湾曲部や海草、流木岩石の裏、暗礁、砂泥堆、人工魚礁、乱杭、沈礁、柵、沈船などが魚のたむろするところであります。42

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