「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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に入れてかからなければなりません。③臭覚による。われわれ人間は味覚をもっぱら舌でとり、臭覚は鼻で感ずるわけでありますが、魚の場合は大分人間と違ったところがあります。魚の舌は人間のように延び縮みすることなく、軟骨の上に皮膜がかぶさっているだけ。味雷(みらい)と呼ばれる味を味わう器官がついている魚は非常に少なく、味覚器官は第二義的なものになっています。特殊な魚では背ピレに味雷がついていたり、又、多くの魚は、顔や口唇の周囲に味雷が分布されていて、口中に入る前に味を感ずるわけであります。コイ類など、ヒゲのある魚などは、そのヒゲで味や臭いを感知するものもあります。臭覚器官としては、左右の目の問に前方に位置して、鼻孔がありますが、人間のようにそれが咽喉部の方までつながっていることは稀で、多くは単なる窪みか、トンネル状の型状をしています。魚はその器官で、甘い、辛い、酢っぱい、にがいといった味覚を感じますが、人間に較べれば非常に30魚類の多くは、透明な鱗の下にある一層の皮層細胞からつくられる色を有する。それは、色素細胞と呼ばれ多くの色素を含んでいます。色素の色としては、第一に花の色どりと同様に、燈、赤、黄があり、第二には黒色の色素で、皮膚の黒い魚はその内臓も黒くなっています。又、魚は結晶体のグアニンという反射組織をもち、その量や分布により、皮膚は白、銀色、あるいは虹のように、あるいは玉虫のような色彩を発するわけであります。グァニン色素は、黒色の色素と結合して、金属性の青、又は緑の色調を呈します。魚の視覚、海の色、体色などについて述べて来ましたが、天候、水色、プランクトンの発生状態等により、太陽光線が変化したり、潮の透明度が違ったり、朝夕の時間の差に、よっても、海の光線の量が異なる。その他、海上に起る波と光線の角度なども海中の色には関係する。擬餌の色、漁具の色なども、こうしたことを考慮

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