「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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を探すことが理想的でありましよう。上、中、下層と海中を三段に分けて立体的に曳くわけですから漁獲量の向上は目に見えて明らかであります。現在カシオ船や鮪延縄漁船(揚縄中)で、カツオ、マグロの魚群を魚群探知機で発見し、その餌付きの良否を見分けるのにこの漁法が採用され、中下層の魚群の浮上や漁獲に効果を上げているのであります。①聴覚による海水中での音と光と臭いの三シのうち何と云っても、魚類に及ぼす影響が一番強いのは音のようであります。音波の水中での速さは、一秒間に一五○○米であり、陸上空気中の音波の早さに較べますと約五倍の早さで伝達されているわけであります。従って、水中の生物もそれに対する反応感覚は敏感である筈であり、魚はそれらの音を、頭部にあるうち耳中の耳石や、体側に一列(又は二列以上)に並んだ穴のあいたウロコの列、即ち、側線といいますが、その側線で感知します、人間に聞こえるような音は、耳石で聞きわけ、人間に聞こえないような低い音やゆるい音とか、波音、瀞泳音、超音波などは側線や体全体に分布されたそれらの器官によって、聴きわけるらしいと科学者はいっています。水中生物の出す音は、物を喰くるときに出す捕食音、泳ぐとき背びれや腹びれで出す水をたたく時の圧力波である海泳音、害敵におそわれたときに出す警戒音、その他、呼吸音、生殖時季に出す生殖音など、海の中は陸で22魚はどうして餌の魚群が大群をなして回漉しなありかを知るか?がら餌を求めるとき、餌となる魚も大群をなしていることが常であります。●●●●●●●●●●●●●●●少数の餌には魚の大群は集らない(山下式誘導漁法考案の理)撒餌として、人工餌料や「こませ」(かぶし)、いわし等を投げあたえて、沢山の魚を集め得られることは、経験的にもなされ、充分御承知の方法であります。今、餌を求める魚の三つの器官について、考えてみましよう。

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