「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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やがて失敗が成功のカギとなる。人間の進歩はこうして得られたものにちがいありません。魚と違って貝類などの場合には、船上の分離装置で、泥、水と分けられ、ポンプ吸入の対象としては成功が可能でありますが、零細な漁場としては受け入れることは不可能です。大規模な採取や、魚類以外のものの採取など、とにかく採算の道さえあれば現在でもポンプ吸入漁法は充分利用出来るわけであります。165その他、網に入『た魚を吸い上げて船に取り入れたり、栽培漁業における魚の移送I生魚を池から他の池に移送したりすることなどは、ぽつぽつ実用段階に来ていますが、方向としては栽培漁業中心に伸びてゆくことでありましょう。漁場でポンプ漁法がやられることは、漁の上からも、魚に与えるいろいろの影響からも、あまり好ましいことではないのではないでしょうか。乱獲や、漁場を荒らすようなことが考えられる場合、私としては賛成出来ません。

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