「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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ピンナガ、メバチマグロ、サケ、マス、サワラ等の大型の魚族がやってくるので、海の中は弱肉強食の生存競走がなされています。終りには、サメ、カジキ、イルカ、シャチ等の海の猛者共が現われるのでありますが、一番最後に人間が登場して、彼等魚族を追っかけて獲ろうとしているのであります。直接海中深くをのぞき込んで魚群を見ることが出来ない人間が、水面に船を浮べて、何処にいるか判らない魚群をめくらめっぽう釣ろうとするのですから、なかなか旨いようには行かない訳であります。例え魚群探知機で魚を探知しても、知恵のある魚を釣り上げるということは、なかなか難しいのであります。「それには釣ろうとする魚が何を好んで食べ、その餌がどういう行動をしているかを知ることが、魚の住処を知る上にも、魚を集めたり、釣り上げたりするうえにも、まず第一に必要なことであります。」一般に魚の好むエサ、今食べているエサを見分ける17温は、寒ブリで、必℃1節℃、彼岸ブリで、妬℃l肥℃若年魚ほど高温帯に分布するようであります。(福井県水産試験場円羽正一場長)。異った食べものとしては、メバル、ブダイ、アイナメ、フグ、カワハギ、イシダイ、などは、種々の海藻の根とか、新芽や実を食べ、又、ヒラメ、カレイ類は砂泥中の貝類や、エビ、カー一、或はイソメ、ゴカイ等の長虫を食べています。海の最も基礎的な餌は、海中に含まれている栄養物質栄養塩類が、大陽光線と海流、又は、潮流の作用により、自然に大発生させる植物性の微細な浮瀧生物(植物プランクトン)でありましょう。これは、海の牧草のようなもので、これを食べてエビやカニの仔、魚の卵などの動物性浮滋生物(動物プランクトン)が大繁殖するようになります。更にこれを食べにマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ、サンマ、ニシン、アジ、サバ、イカ、タコ、エビ等のやや小型の魚類が集ってきます。そうして、これを追って、カツオ、ブリ、クロマグロ、

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