「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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魚の競争心をあおるためであります。撒餌や③を使用しないでも魚は釣れます。しかし、魚の餌付けのわるい場合や、船についた魚群を散らさないために撒餌をすることもあります。魚が喰いのよい時はスローで進み、わるい時は少しスピードを増して進むのもよい方法です。魚の喰いのよい時ですと、一日に百キロ、二百キロと釣れる漁法ですから、十分研究されると大変に成果があると思います。14竿をつかんで魚を釣り上げるわけであります。非常にスピーディな、餌付きの早い魚などでもどんどん船内にハネ込めますから、漁獲量を大きくすることが出来ます。船により、ところにより、撒水器で水を水面にまいたりも致しますが、魚のスリ身を「あたり鉢」でこまかくスリおろし、更に海水を加えてドロドロにしたものを魚群に撒餌したり、図③のようなものを作って魚群のいるところどころに浮かせると、魚群がそのまわりにだんだん集結し、大釣りをする基になります。又、魚群の追っている餌をタマですくって、船上から撒いたり、スリ身にしたり、カメの水栓をあけてその中に餌を入れ、栓のすき間から餌がこぼれるようにしても効果があります。外側の長い竿にかかった魚はすぐに釣り上げずに内側の短かい竿から先に釣り上げ、外側の魚はそのまま引張ってゆくと、特に魚の群がはなれないのであります。これは中層棚探し漁法でもお話した通り、魚が魚のオトリになるため、先をあらそって餌に飛びつく

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