「新しい釣漁業の技術」山下楠太郎
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第三章カジキ鮪曳繍漁法ものは一分位のものであり、太いものでも四分止りであります。こうした漁法は、魚がだんだん利巧にあらなり、又、水面にいる関係から、道具の欠点や粗がよく見え、喰はなくなったため、釣漁としては最後の手段としてとられている方法であります。又、本鮪のように比較的、水面と直角に近い方向で釣針に掛ると急速に沈下して、その恐怖と異状なものに対する驚きから体力を消耗させる魚ならば、この方法で漁獲も成立ちますが、カジキのように最後の最後129津軽半島三厩のマグロ流し釣漁具(如年9月)(カジキ、大型魚、カツオ、ビンナガ類等)本漁法は、従来行なわれているカジキ曳細漁法を改良したものであります。沖合でカジキの群を発見しても、従来はツキンポ以外には漁獲されることがなく、何とか曳細でうまい方法がないものかと云われておりました。水面近くに海泳している魚を、曳細や、流し釣りで上げるには、どうしても細目の道具でなくては喰いつきまみんやません。青森県の下北半島の大間や、津軽半島の一二厩今別等で、主に夏期を中心に津軽海狭の黒鮪(本鮪)を、生き餌のサバ、イカ、トビウオ、アジなどを用いて釣ります。魚群をみつけてから生きた餌に釣針を仕掛けて、海中を泳がせて釣る漁法であります。魚が喰うとナイロンテグスの細手の道糸を魚の動くままに持って行かせて、魚の弱わるのを待ってから取り入れています。この釣元のナイロンの太さは細い

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