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Meister’s Academia マイスターズ アカデミア

講師:フィッシングマイスター川上英佑

港湾部のアオリイカを狙え! 「アーバンエギング」のススメ

外洋エリアと変わらない釣果が期待できる!

―――湾奥エリアでアオリイカが釣れる。少し信じ難い情報なのですが、YAMASHITAのスタッフが東京湾奥でエギングを楽しんでいると聞きました。まず、この噂って本当なのですか。

 本当です。横浜や川崎など、東京湾の大都市で普通にアオリイカが釣れています。2007年に開発スタッフがエギのテストを横浜で行っていたところ、なんと7杯も釣れたんです。以来、「アーバンエギング」と称して、スタッフたちがポイントや釣り方の開拓を続けています。

―――ビックリですね。東京湾奥で本当にアオリイカが釣れるとは。

都市部の身近なポイントが舞台の「アーバンエギング」。
アクセスしやすく、足場も良いポイントが多い

 神奈川県側では川崎エリア、千葉県側では千葉港までは確認できていますが、東京都でも釣れたという情報もありますよ。お台場にもいるという話です。

―――しかし、どうしてこんな湾奥エリアでアオリイカが釣れているのでしょうか。

 テストを始める以前から釣れていたのかもしれないので何とも言えませんが、東京湾奥の水質は近年とても良くなっていますし、10年ほど前からアマモなどの再生事業なんかも行われています。そうしたことが影響しているのかもしれませんね。

―――先ほど、7杯釣果が出たという話が出ましたが、結構数は出るのでしょうか。サイズはどうですか?

 数は多いときだと10杯くらい釣れますよ。サイズは、外洋に比べて気持ち小さめといったところですが、秋シーズンで500〜600gくらいまで釣れます。

―――釣れるシーズンについてはいかがですか。

 はい。例年では9月頃からシーズンが始まって、最長で12月の上旬まで釣れ続きます。雨が大量に降らなかったシーズンは、割と長く釣れ続きますね。具体的には9月頃に横浜の磯子エリアで釣れ始めて、それが少しずつ北上していくイメージです。

橋脚、大型船……、港湾部ならではのポイントも

潮目の中から釣り上げた一杯。
港湾部のアオリイカも「居着型」と「回遊型」がいるが、
回遊型を狙うなら潮目は外せないポイントだ

―――シーズンが進むにつれて、ポイントが広がるイメージですね。ちなみに、どんな場所が狙い目になるのでしょうか。湾奥ならではのポイントなどもあるかと思いますが。

 まずは「潮目」ですね。湾奥でも居着きタイプのアオリイカと、回遊するタイプのアオリイカがいますが、回遊型を狙うなら潮目は外せません。外洋と同じですね。アオリイカは潮目に乗ってポイントに入ってくることが多いので、フレッシュなイカがいる可能性が高いです。湾奥ならではという意味では、大きな船の下なんかもいいですよ。

―――シーバスみたいですね。

 本当にそうなんですよ。シーバスとかぶるポイントも多いんです。船を係留しておく大きなロープの周りなんかにもイカは集まります。あとは防波堤の基礎部分なんかもいいですね。ベイエリアの大規模な堤防や護岸を造るときって、必ず基盤が沖目3〜5mまで沈んでいるんですが、そこはイカの回遊ルートになっていることが多いです。なので、足下をしっかり探ることも大切ですね。

―――なるほど。シーバス釣りなどではよく狙いますが、桟橋の橋脚とかはいかがですか。

 もちろん、ポイントになります。穴撃ちをすることもあります。シーバスほどシビアに通す必要はありませんけどね。その他、明暗部、テトラ、かけあがり、潮通しのよい場所、護岸が変化している場所、温排水が流れ出る周りなどもいいですね。あとは、やはりベイトがいる場所。イワシなどのベイトを追って接岸してくるイカも多いですから。

―――なるほど。逆にダメな場所、コンディションなどはありますか。

YAMASHITAの本拠地・横浜エリアでもアオリイカが釣れる。人工ストラクチャーが多いエリアだけに、狙えるポイントは実に多彩

 雨後の河口域ですね。イカは淡水を嫌いますし、濁りも入りますから。そういったときは、湾奥ではなく塩分濃度の高い湾口に行ったほうがいいです。あとは立ち入り禁止ポイントですかね。

―――たしかに。湾奥は気付いたら立ち入り禁止だったり、釣り禁止だったりしますからね。注意しないといけないことも多いですね。

 はい。釣り人以外の人が通ることも多いので、投げるときにしっかり後方確認したり、墨跡を残さないようにしたりする配慮も必要になってきます。マナーを守って「アーバンエギング」を皆さんと盛り上げていきたいですね。

普段使っているタックルとエギでOK!

―――使用するタックルは通常のエギングタックルでいいですか。

 基本的にはそれでいいと思います。ただ、足場が高い場所があったりもするので、8フィートクラスがベターですね。硬さは、4号とか4.5号のエギを投げることもないので、M(ミディアム)クラスで十分です。PEラインは0.6~1.0号。リールも2500~3000番など、通常のモデルで問題ありません。

―――エギはどんなエギを使っていますか。

 釣果を得ようと思ったら、シーズン序盤は2.5〜3号が有利ですね。それで、寒くなるシーズン後半になるにつれて、大きいサイズを使用していきます。イカのサイズが大きくなるという理由もありますが、イカが深場にいることもあるため広範囲を探れる3〜3.5号が強いですね。カラーについては、湾奥は潮が濁り気味なので、赤テープや夜光ボディが強いです。フォローで金テープがあってもいいかもしれません。

―――なるほど。重さ(タイプ)についてはいかがでしょう。

高活性のイカをテンポよく狙うエギ王Q LIVE、低活性のイカをフォローするエギ王K。アーバンエギングでもYAMASHITA不動のツートップが活躍してくれる

 基本はノーマルタイプでいいと思います。湾奥エリアはシャローというシャローがなく、どこもある程度の水深がありますからね。ただ、急に潮が収束するような場所では潮が速くなっているので、そうした場所ではディープタイプの出番もあります。逆にそうした潮に乗せてどんどん沖まで流していきたいときはシャロータイプですね。特にエギ王Kはシャロータイプでは無いですが、ボディ形状が水の流れを掴みやすいので、どんどん沖まで流して、より広範囲をテンポ良く探っていくことができます。

―――エギ王Kという名前も出てきましたが、ここで川上さんのおすすめのエギについて教えていただけますか。

 はい。まず最初に使うのがエギ王Q LIVEです。このエギは鋭いダートアクションに特化したエギで、動きでアピールしてイカを寄せるタイプ。動きによる大きな水押しや波動でイカを寄せることができます。そのため、まず最初にテンポよく活性の高いイカを釣っていくのに最適です。特に湾奥では、潮が濁っていることが多いので、LIVEの水押しによるアピールは大きなメリットになります。

―――次に出てくるのは、どのエギでしょうか。

 次はエギ王Kです。これは動きよりもフォールで誘うタイプのエギです。スレたイカが敏感になる「フォールの姿勢」にこだわって作っていて、LIVEで釣りきれなかったイカ、活性が低く他のエギには反応しないようなイカを狙うことができます。まずはLIVE、次にKでフォロー、このローテーションが基本ですね。

シャクリは大きく! テンポよく!

―――せっかくなので応用パターンも教えください!

 ピンポイント狙いであればLIVEのフリーフォールがいいですね。LIVEは縦・横に大きく動き、橋脚狙いなどのピンスポット狙いでも、短い距離でたくさんの回数ダートで誘うことができ、橋脚の奥からも音や波動でイカを誘い出す事が可能です。逆に、限られたレンジにイカが集まるような場所では、縦に動きすぎず一定層を確実に引けるKがベストマッチします。中層にロープがあってそこにイカがついているような場面なんかで使ってもらいたいです。

潮が濁り気味なことの多い湾奥エリアだけに、視覚によるアピールよりも波動や音でイカにアピールするのが有効。シャクリは大きく、強く行いたい

―――YAMASHITAのツートップ、エギ王Q LIVEとエギ王Kをうまく使い分けると、ずいぶん狙いの幅が広がりそうですね。続いては、釣り方について。シャクリやフォールのコツについて教えてください。

 基本的には、通常のエギングと同じですよ。特に難しいことは考えなくてもいいかと思います。ただ、今回も何度かお話しましたが、湾奥は潮が濁っています。そのため、シャクリは大きく強く行うことが大切です。視覚に訴えるのが難しくなる分、大きな波動や音でイカにアピールしたほうがいいですね。あとはテンポ良く。季節的にもイカの活性が高いため、じっくり狙うというよりは、よりエギを動かし、より広範囲を探ったほうが釣果が出やすい時期です。あまり難しいことを考えるより、反応がなければ移動の繰り返しで、とにかく数を撃っていくというのも場合によっては大切かもしれません。

―――なるほど、了解しました。では最後に、これから「アーバンエギング」を始めようとしている皆さんに、ひと言いただけますか。

 はい。今回は東京湾にクローズアップされた内容ですが、「アーバンエギング」は決して東京湾限定ではありません。湾奥となる場所は日本各所に存在し、アオリイカが生息する可能性も大いにあります。当時、我々も東京湾奥でのアオリイカの釣果には驚きましたし、10年以上前に神戸~大阪エリアでアオリイカの釣果があった際にも「こんなベイエリアで!?」と驚かされました。湾奥エリアは足場も比較的に良く、身近なフィールドで、釣り方も難しくありませんし、特別な道具も必要ありません。釣果も意外と出ますので、仕事帰りに、あるいは家族連れで、ぜひ皆さんにも楽しんでいただきたいですね。一緒に「アーバンエギング」を開拓していきましょう!