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Meister’s Academia マイスターズ アカデミア

講師:フィッシングマイスター川上英佑

釣果は使い手次第。最強ツートップの戦略的使用法

戦略① イカの「活性」によって使い分ける

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それぞれ異なる特徴を持った「K」と「LIVE」。
戦略的に使い分けることで、いままで釣れなかったイカも射程圏内に入る

————今回は、2013年8月発売の「エギ王K」について、フィッシングマイスターの川上英佑さんにお話を伺っていきます。早速ですが、エギ王Kと定番のエギ王QLIVEの「違い」についてお聞かせください。

川上(以下、川) はい。簡単にいうと、エギ王QLIVEが比較的高活性のイカを狙う、動きに特化したエギであるのに対して、エギ王Kは低活性のイカやスレたイカを狙うために作られた、フォールとボディ形状に拘ったエギです。高活性と低活性、狙うイカが違うわけです。

————なるほど。「活性」によって使い分けることを前提としているということですね。では、具体的にどのような性能の違いがあるのでしょうか。

 まずはエギ王Kのボディ後部下部にある透明の突起物「ハイドロフィン」に注目してください。これは、エギ王Kのアクションをコントロールする非常に重要なパーツで、これがあることによりフォール時の安定性と直進性が高められ、ボディが左右に振れずスーッと一直線に沈んでいくフォーリングを実現しました。イカがエギを抱くタイミングって、ほとんどがこのフォール時なのですが、スレイカはこのフォール時の微妙な動きに非常に敏感で、不自然に左右に揺らいだりするとエギから離れていってしまいます。従来のエギってどうしてもフォール時に、波・風により不自然な動きが発生しやすいんです。

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エギ王Kのハイドロフィン(PAT.P.)。あらゆる状況で
安定したフォーリングをサポートするKの心臓部。
詳細はエギ王Kのスペシャルページに掲載されている

————エギ王Kはハイドロフィンによってフォールが安定するため、この問題を解決できたということですね。

 はい。ただ、ハイドロフィンの効果はそれだけではありません。後でお話するダートアクションなんかにも影響してきますし、潮の流れを受けやすいので着底時の「揺らぎ」も大きくなります。この着底時の「揺らぎはスレイカにとても効果的で、イカの反応が悪いときなんかは、ボトムで放っておくのが効果的だったりします。エギ王Kならではですね。

戦略② それぞれの特徴を理解する

————エギ王Kのボディ自体の形状は、エギ王QLIVEと比較してどうですか。

 ずいぶん違いますね。エギ王QLIVEはイカを寄せる大きなダートとヒラ打ちを優先した非常にスリムな形状です。ノーズなんかも非常に薄いですし。それに対してエギ王Kはノーズにボリュームを持たせていますし、ボトムもフラットな形状で水を受けやすいフォルムにしています。エギ王QLIVEなど現在主流のエギは上下左右に大きく鋭くダーティングするタイプが中心ですが、低活性のイカってこうした速く、鋭い動きに反応し難いんですよ。むしろ警戒してしまうくらいで。こんなイカには、大きなダートよりゆったりと誘ったほうが絶対に効果があるんです。そこで、エギ王Kはあえてボディ形状をあまり絞らずに、ダート幅を抑えめにし、ヒラ打ちは極力させず、ゆったりと誘える形状になっており、ヒラ打ちを極力抑える事で、ダートアクション時のレンジキープがしやすくなっています。

————ボトムのフラット面はどのような効果があるのでしょう。

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活性の高いイカに効果的な鋭いダーティングを生む、
エギ王QLIVEの細くシェイプされたノーズ

 イカがエギにアタックするのは、先程もお話した通り、ダートやシャクリの後のフォールのタイミングです。特にフォールに入る一瞬でアタックするかしないか決まる事が多く、高活性のイカならこのエギの跳ね上がりのピークとフォール時の角度のギャップの大きさもアピールの1つとなりますが、低活性のイカには急激な動きの変化は逆効果です。この点について、エギ王QLIVEはダートが終わると意図的にストンッと落とせるイメージ。ギャップの大きさを調整出来る、高活性のイカ向きのアクションですね。一方のエギ王Kはフワッと緩やかな曲線を描いて落ちるイメージ。エギが跳ね上がったピークからフォールまでを腹部のフラット面が水を受けることで、この緩やかな曲線を実現しています。まさにスレイカや低活性なイカに最適なアクションです。

————徹底的にスレイカにこだわっているようですね。その他のパーツについては、いかがでしょうか。

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激渋の状況から引きずり出した一杯。
スレイカ専用のエギ王Kがその効果を発揮した

 あとはアイやフックについてもスレイカ仕様になっていますよ。アイについては、アイの瞳自体にホログラムとケイムラ加工が施されていて、その周囲にはグロー加工を施してあります。目玉をとにかく目立たせることで、エギの動きと進行方向を明確にして、「抱き」を誘導する工夫です。もちろん、ケイムラ発光、夜光、フラッシングのトリプル効果でアピール力も倍増します。フックについては、前後で開く角度変えて、低活性のイカ特有の足先のみで触るような千差万別のアタリに対応できるようセッティングしています。とにかく、「スレイカ」専用のエギとしてやれることは“やりきった”という感じでしょうか。エギ王QLIVEとの使い分けで、狙えるイカがかなり増えると思うので、ぜひ試してみて頂きたいですね。

戦略③ 情報収集に「K」を活用する

情報の限られる夜間でも、エギ王Kなら
エギを通して多くの情報を入手することが可能

————「活性」による使い分けが基本とのことですが、その他にはどのような使い分けができるのでしょうか。

 風の強さ、ウネリといった「外的要因」による使い分けもおすすめですね。ラフコンディションのときは、エギ王Kが有利です。これはハイドロフィンやボディ形状によるものですが、マイナス要因である風、ウネリによる、アングラーが意図しないエギの不安定な動きを制御し、常に安定したフォール姿勢を生み出します。風や波でPEラインが引っ張られるラフコンディションでも、安定したフォールを見せてくれるため、積極的に使っていただきたいですね。

————中級者、上級者になればなるほど、ラフコンディション時にもフォールにこだわりますからね。

 はい。ラフなコンディションはもちろん、イカが低活性なタフコンディション時にはフォール姿勢のコントロールに細心の注意を払うアングラーが多いですね。フォールにこだわるアングラーには、確実に釣果の違いを感じていただけると思います。

————楽しみです。その他に使い分ける場面はありますか。

 エギ王Kは感度が非常に高いので、「情報を収集したい場面」で使ってもらいたいですね。

————情報収集ですか。

 はい。エギ王Kは、水を受け流して大きくダートさせるエギ王QLIVEと違って、ボディでしっかり水を受けるタイプのエギ。水の抵抗をしっかり受ける、潮を噛みやすいエギなんです。つまり、アングラーは潮の動き、変化を感じやすく、水中の情報を把握しやすいんです。例えば、二枚潮のような上下で潮の動きや速さがことなる状況ではその境目にイカが集まりますが、シャクるときの手元に伝わる重さの違いで、上下の潮の流れの違い=潮の境目を感じ取ることができ、集中的に狙うことが可能です。それと潮を噛みやすいボディは、僅かな流れをもしっかりと掴み、潮の動き出しや、微細な流れの変化を即座にアングラーに伝えてくれます。

————感度の良さが、情報をもたらすわけですね。ナイトゲームなんかでも効果がありそうですね。

 夜間は視覚から得られる情報が減るので、エギを介して得る情報が重要になりますからね。近年のエギングロッド、PEラインは飛躍的な進化を遂げて、感度も大幅に向上していますが、エギ自体の感度については今までそれ程注目されてきませんでした。
着底や、固い底質がわかり易くなるエギのボディ素材の工夫はされてきましたが、潮流や流れの変化を掴む感度とはまた別です。イカに一番近い距離にあり、常に海中に入っている、多くの情報を有しているはずのエギから、もっとアングラーに情報を伝えるにはどうしたら良いだろう?と悩みました。試行錯誤した結果、水を押し、水を受けるボディに着目し、中層で潮の流れや変化を掴み、アングラーに的確に情報を伝えてくれるボディにたどり着いた訳です。特に中・上級者の方は、潮、流れ、変化について考えて釣りをされている方が多いので、重宝していただけると思いますよ。ロッド、ライン、エギと全てにおいて感度が上がれば、大きなアドバンテージになると思います。

戦略④ 「フォール」で差を付ける

まずはエギ王QLIVEでテンポよくイカの反応を確かめる

————さて、KとLIVEの具体的な使い分け方についてですが、川上さんはどのように使い分けていますか。

 基本的には、まずはLIVEの大きく、キレのある動きでテンポよく探っていきますね。LIVEはアピール力が高いので広範囲からイカを呼べますし、活性が高いイカがいればすぐに反応してきますから。いち早くその日の状況を確かめたかったり、短時間で広範囲を探りたい時にもLIVEを使用しますね。そして、アタリがあるけど乗らない、あるいはアタリがないときは、活性が低いと判断してKにローテーションします。

————最初は活性を確かめるわけですね。

 そうですね。ただ、潮が動いていないとか、水温が前日と大きく変わったとか最初から活性が低いことが分かっているとき、あるいはラフコンディションのときなんかは、最初からKを出すのもありですね。Kを使用する際には、フォールを意識した使い方をします。フリーフォールでは沈下角度、スピードはLIVEとほぼ同等ですが、テンションをかけた際に、腹部のフラット面が水を受け、よりゆっくりと沈下させることが可能です。意図的にフリーとテンションフォールで大きな緩急の差をつけることができます。ここでアタリを出したい、出るであろうというピンポイントで狙ってテンションフォールさせて、よりじっくり見せるというような使い方ですね。

————その他に裏技的な使用方法があれば教えてください。

 はい。潮の流れを読み、その潮を利用する方法があります。潮に乗せて遠くまでドリフトさせたいときはK。ハイドロフィンの効果で流れに対してポジションを素早く整えやすく、舵の役割を果たし流芯から外れにくいのと、腹部のフラット面が水を受け、潮に乗せるとずいぶん遠くまでエギを運ぶことができます。逆に激流でエギが沈まないくらい流れが強い場合は、水を受け流すLIVEでドリフトさせ、狙ったレンジまで送り込みます。潮の流れを味方にすることで、キャストでは届かないエリアを探ることができるため、ぜひ試してみてください。

————はい。「活性」「外的要因」「情報収集の必要性」など、様々な要素で使い分けが可能なエギ王Kとエギ王QLIVE、強力な2トップになりそうです。

 はい。この2本があれば、いままで諦めていたイカも一気に射程圏内に入ってくるはずですよ。皆さんも、ぜひお試しください。