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Meister’s Academia マイスターズ アカデミア

講師:フィッシングマイスター川上英佑

ALL ABOUT春エギングVol.2 〜エギ選びとテクニック〜

4号以上のエギのアドバンテージ

上から4.5号、4.0号、3.5号。この春は脱3.5号、4.0号以上に
チャレンジしてみるのも面白い

————今回は「春イカを狙うエギ」について、長年エギ作りに携わっている川上さんならではの視点から解説をして頂こうと思います。まず、春イカ用のエギ選びで一番意識したいことは何でしょうか。

川上(以下、川) 春エギングでは、3.5号と呼ばれる13.5㎝くらいのサイズがメインに使われるのですが、イカも大きくなればなる程、やはり効率的にエサを獲りたいので、質量の大きなエギにアタックしてくることが多くなります。

————大きいイカは食べる量も多いので、小さいエサを何度も食べるよりは、大きいエサ一回でたくさんまかないたいという訳ですね。

 そうです。大型のイカは賢いので、捕食の効率性も考えています。メジナ、クロダイ、20㎝くらいのメバルなんかも食べていますからね。もっとも、大型のエギを使用すると、大きいエギの方がイカからも見つけてもらいやすいという単純な理由もあります。表面積が大きい分、水押し、いわゆる波動も大きくなりますし、フラッシングによる視覚的なアピールも大きくなります。

————小型は交じらないのですか?

 もちろん、小型のイカを寄せる力もあります。実際に4号以上のエギでも100〜500gくらいのイカが釣れることもあります。ただ、小型のイカはどうしても大型のエギを警戒するので、よほど活性が高くない限り、4号以上には手を出さないことが多いですね。大型を狙うのなら、4号以上のエギのほうが狙って釣れる確率は、格段に高いです。

————ただ、4号以上のエギに抵抗感を持っているアングラーも多いとい思うんです。3.5号で満足しているというか。

 はい。3.5号のディープタイプで済ませてしまう方も多いですね。春の早い時期は重いエギが必要になりますよね。深場にイカがいることも多いですし、春一番などというように風の強い日も多いです。もちろん、飛距離を出して広範囲を攻めたいと。そこで3.5号のディープタイプを使うと。

————確かにそういったアングラーさんが多くですね。

 ただ、ノーマルタイプのシンカーを重くしたディープタイプはバランスが前傾寄りで、沈下姿勢に多少無理が出てきます。ナーバスな春イカ狙いでは特に。やはり、エギはノーマルタイプをベースに作られますので、ノーマルタイプの動き、沈下がイカには適しています。ディープタイプですと、どうしても沈下姿勢に角度がついてしまい、風やうねり等がキツイ悪条件下で不意にエギが頭を上げ下げしやすいのと、フリーフォールもノーマルタイプよりも立った姿勢になりやすいんですね。

春専用の「エギ王GX

————大型イカはそこを見逃さないと。

 そうなんです。警戒心が強く賢い大型のイカは、ちょっとした違和感や動きに敏感です。せっかくイカを寄せても、プイッと逃げていってしまします。だから、あくまでノーマルタイプ、でも重さは欲しいということになるのです。

————そこで開発したのが、デカイカ専用の「エギ王GX」ですね。

 はい。大型の好むビッグサイズで、アピール力に優れ、重量も十分。しかも動きもとてもナチュラルで、春イカに警戒心を与えません。

————やはり専用モデルというだけありますね。

 春特有の笹濁りの潮でも、海中に届く少ない光を効率的に反射し、大型イカにアピールする側線部分の「Gフラッシュ」、違和感のある動きを排除して安定感をさらに高め、ボトムステイ時にも大きな揺らぎを発生させる「スタビライズシンカー」、大型にも真っ向勝負できる「大型太軸フック」、紫外線量の多い春に一層効果を発揮する「ケイムラアイ」など、すべてがデカイカ仕様になっています。

大型イカ専用のエギ王GX。ただ大きいだけでなく、
側線部の「Gフラッシュ」など春イカを誘い出す仕掛けが随所に

————春エギングに特化したモデルとあって、これからのシーズンにまさに最適。寸分の隙もない仕上がりになっているようですね。

 はい。YAMASHITAらしいかなり濃密な仕上がりになっています。詳細はエギ王GXのスペシャルサイトでチェックしてみてください。

エギの「カラー」選びのコツ

————つづいてエギの「カラー」について伺っていきます。春エギングのカラー選びの基本は何でしょうか。

 カラー選びは難しくて、なかなかその通りにいかないことも多いのですが、春の潮色は「春濁り」「ささ濁り」などといわれるように「潮色の濁り」がカラー選びの一つのキーワードになります。

S03ブルーベイト
どんなベイトフィッシュがいても対応する万能暗色系カラー。
川上マイスターも愛用するイチオシカラー
B06スイッチングピンク
上下でカラーが大きく異なり、ラインテンションの掛け具合に
よって見える色が変わる。暗色だけどアピールしたいときに

————「濁り」ですか。

 はい。春は多少の地域性はありますが、わさび色というか、うぐいす色というとか、緑っぽい潮色になることが多いんです。水温の上昇とともに植物性プランクトンが増えて、「濁り」が発生するんです。

————言われてみると、そういった潮色の時が多いですね。

 そういった時は、膨張色がおすすめです。白やオレンジ、ピンクなどの明るい色ですね。にごっていても、しっかりイカにエギの存在を知らせることができます。もっとも、潮色だけでなく、「イカに色を合わせる」必要もあります。

————というと、どういうことでしょうか。

 イカのコンディションにエギのカラーを合わせるということです。春イカは産卵を控えて警戒心が強いのか、暗色を好む傾向があるのか、黒とかダーク系に反応することが多くあります。そこで、上布の色はダーク系にしつつ、下地のテープが金とか膨張色のものを選ぶといいですよ。真逆のパターンのスイッチングカラーもおすすめです。背中側と腹側でカラーが全く異なるもので、エギ王GXの「B06スイッチングピンク」なんかはその典型です。ピンクの背色で遠くのイカへ存在を知らせ、深いムラサキ色の下地でコントラストをしっかり浮かび上がらせる。追尾してきたイカにもエギの上下運動で「明→暗」と色の明滅でアピールするカラーです。カラー選びは慎重に、且つシビアになることが多いですね。

ヒット率を上げる㊙テク

シャクリはメリハリをつけて。
潮の流れの速さなどによって、大きさ・強さを調整する

————シビアといえば、シャクリ方なんかもかなりシビアになってくるのでは。

 はい。潮の流れ等も意識したいですね。潮の流れがさほどない場面であれば普通にシャクっていればいいのですが、沖に向かって潮が強く流れているような場所では、普通にシャクリをいれているとエギが潮を受けて高く跳ね上がってしまうんです。すると、中層までシャクり上げていたつもりが、水面近くまで来てしまっていたりします。

————それでは、まったく釣果は望めませんね……。潮の流れを感じ取る必要がありますね。

 シャクるときに手で重さを感じ取ってください。手のひらにかかる抵抗を感じるようにやると、潮の流れがわかるはずです。それで重いと思ったらいつもよりゆったり弱くシャクり、逆に抵抗を全然感じないようでしたら強めにシャクってみてください。また、中層で感じる潮の抵抗が変化する場所があったら要注意です。そういった潮の重みが変わる層がイカの通る泳層である事が多いですから。

————回数はどうですか?

 回数に関しても同じ様に考えてOKです。払い出す潮の流れが速い様だったら、いつもは3回シャクっていたところを2回にする、逆に流れがないようだったら、3回を4、5回にすると良いです。流れの変化を感じる層があれば、毎回シャクる毎にその変化を感じれる様に同じ層にエギを通してあげる事が大切です。

————そうすることで、狙ったレンジをしっかりキープできるのですね。

 春イカは秋イカの様に、エギを長く追ってくることは少ないので、レンジ=イカの泳層を外すと釣果は望めません。でも逆に言えば、しっかりボトムから中層にあるヒットレンジをトレースできれば、意外と簡単に釣果を手にする事が出来ます。ちょっとした違いが釣果を分けるのが、春エギングの面白さであり、難しさ。これからのベストシーズン、皆さんもこんなポイントを考えながら春エギングを楽しんでください!